超難解なミステリー漫画サブリナの謎を解く!【完全ネタバレ】


サブリナ


最近サブリナというミステリー漫画がちょっとした話題になっていて気になったので早速読んでみたのですが、これがなかなか面白い漫画だったので紹介したいと思います。

実はこの漫画かなり周到にシナリオが練りこまれていて、一読しただけでは物語の全容はよくわからないようになっています。ただ漫画の中に散りばめられているヒントを集めてつなぎ合わせていくと段々本当のストーリーが見えてくるようになっていて、まるでパズルのような仕掛けになっている漫画なんですね。

この漫画の表向きのストーリーはサブリナの殺人事件に巻き込まれた人たちが傷つき苦しみ、やがてその苦しみから立ち直って新たな一歩を踏み出していくというものなんですが、実はその裏ではとんでもない別のストーリが進行していて、そのギャップがとても面白いんですよね。

ということで、ちょっとこの漫画に隠された本当の物語が何なのかを解説してみたいと思います(ただネタバレを読む前に一度この漫画を自分で読んでみて謎解きをやってみることをお勧めします。とても面白いですから)。

あらすじだけ追うとわけがわからなくなる

さて隠された本当のストーリーを解説する前に、まずこの漫画のあらすじをざっと追ってみたいと思います。

あらすじ

まずシカゴでサブリナが職場から家に戻る途中で消息を絶ちます。サブリナの失踪によって恋人テディは情緒が不安定になり、幼馴染でコロラド州の空軍基地に勤務するカルヴィンの元に身を寄せることになります(カルヴィンはテディの両親に電話で頼まれ引き受けることになる)。

こうしてカルヴィンとテディの同居生活が始まるのですが、そんな中カルヴィンには特別捜査局という部署への転属の話が持ち上がります。しかし、カルヴィンは数か月後には除隊して別居中の妻と娘がいるフロリダに行くつもりなので、この転属話を断ります。

その数週間後、サブリナが殺害される様子を収めたビデオテープが複数のマスコミに送られてきて、ビデオテープを送ったティミー・ヤンシーという男が自宅で自殺している姿で発見されます。これによりサブリナの失踪は殺人事件に発展しますが、被疑者が死亡しているため事件の捜査は暗礁に乗り上げてしまいます。

捜査が暗礁に乗り上げる中、ネット上ではサブリナ殺害事件が実は偽旗作戦では?との疑惑が持ち上がります。実はサブリナは生きており、サブリナの妹サンドラ、テディ、カルヴィンはクライシスアクターなのだと、世間からあらぬ疑いをかけられ激しいバッシングにさらされます。

このバッシングにより三人は深く傷つきます。テディは部屋に閉じこもり、陰謀論を唱えるラジオ番組を取りつかれたように聞き続け、妹サンドラは事件被害者のコミュニティ活動に参加するなどして心の平静を取り戻そうとします。

やがて別の州の保育園で無差別大量殺人事件が起こり、世間の関心はそちらの事件に移っていって三人に対するバッシングも終わりを迎え、それぞれなんとか立ち直っていきます。

テディは新たな就職先を見つけ、サンドラはサイクリングに行けるまでに心の平静を取り戻します。カルヴィンは妻に同居を断られたことから特別捜査局への転属の話を受けることにし、ヴァージニアに引っ越すことになります。

こうして三人は事件の余波を引きずりながらもそれぞれ新しい生活を送りはじめることになります。

サブリナ殺人事件の真相は藪の中

ここまでが主なあらすじなのですが、さっと一読した後の読後感にはどうしてももやもやが残ります。ざっとあらすじだけ追うと意味不明で、サブリナ殺人事件の謎は何一つ解明されず、放り出されてほったらかしにされたようなどうにもわけのわからない読後感です。

ただ、先にも書いたように二度三度読んでいくと、この物語に隠された本当のストーリーが見えてきます。よく読むとサブリナ殺人事件の謎もちゃんと解明されていて、全ての謎が解けるという仕掛けになっているんですね。

ということで、次の項からはこの物語に隠された本当のストーリーがいったい何なのか?解明を試みたいと思います。

サブリナ偽殺人事件には二つの目的がある

ここからがネタバレです。

まずサブリナ殺人事件ですが、これは偽旗作戦でありサブリナはちゃんと生きています(パルミラ環礁に送られてそこで生きていると思われる)。そしてこのサブリナ偽殺人事件は特別捜査局という組織によって企画されたもので、二つの目的を果たすために実行されたと思われます。

その二つの目的とは、サブリナが殺されたことにして社会から存在を消してしまうことと、犯人とされるティミー・ヤンシーを自殺に見せかけて暗殺することの二つです。つまりサブリナは何らかの政治的な理由で社会から身を隠す必要があり、ティミー・ヤンシーは何らかの政治的な理由で暗殺の対象になっていたということです。

そしてこの二つの目的を一つに組み合わせて企画され実行されたのがサブリナ偽殺人事件というわけなんですね。

タイトルがミスリーディングになっている

この漫画のタイトルがサブリナになっているは読者をミスリードするためだと思われます。つまりタイトルがサブリナになっていることによって、これはサブリナ殺人事件を描いた漫画なのだと読者が思い込むような仕掛けになっているというわけです。

しかし実際にはサブリナ殺人事件はこの物語の主線ではありません。この漫画の主線はカルヴィンが特別捜査局に転属するまでの過程を描いた話であり、サブリナ殺人事件の話はただの伏線なんですね。

主人公カルヴィンはなぜ特別捜査局にスカウトされたのか?

先にも書きましたがサブリナ偽殺人事件を実行したのは特別捜査局という偽旗作戦を行う組織です。そして主人公カルヴィンがスカウトされ、これからまさに転属しようとしている組織がこの特別捜査局なんですね(ただカルヴィン自身は特別捜査局が偽旗作戦を行う組織だとは知らない)。

この特別捜査局は偽旗作戦を行う組織ですから、入隊すると当然いろいろとやばいことやらされることになるわけですが、なぜカルヴィンがこの組織にスカウトされたのかというと、それはカルヴィンが異常にストレスに強い人間だからです。

カルヴィンは勤務中たびたびメンタルヘルス調査票というものに記載させられるのですが、「現在のストレスの強さを1から5で表すとすると」という項目に何度か5を付けるものの、その他の項目ではほとんどストレスを感じている様子を見せません。

「落ち込んでいたり、自殺を考えたりしますか?」や「私生活のなかで勤務に悪影響を与えているものはありますか?」「臨床心理学者に話をしてみたいと思いますか?」といった問いにはずっと「いいえ」に〇を付け続け、自分の身に降りかかっているストレスに対してほとんど動じている様子がないんですね。

つまりカルヴィンは物凄く無頓着な人間で、このストレスに対する異常な強さを買われて特別捜査局にスカウトされているわけです。特別捜査局は偽旗作戦を行う部隊ですから入隊するといろいろな犯罪行為をやらされることになるわけなので、ある意味無頓着でストレスに強い人間が求められているというわけなんですね。

そのためこの間、カルヴィンには様々なストレスがかかるように仕向けられていて、ストレスへの耐性をテストされ、そしてカルヴィンは見事にそのテストに合格して特別捜査局に転属することになるというわけなんです(ただしカルヴィン自身はテストされていたことに気付いていない)。

テディ・キングは二人いる?

この漫画でサブリナの恋人として登場するテディ・キングという男は非常に謎の多い人物です。逆にこの人物の人物像がはっきりするとこの物語の全容も見えてきます。

テディはサブリナの恋人役を演じているクライシスアクター

サブリナ殺人事件が偽旗作戦だとすると、テディの人物像には二つの可能性が生じます。一つの可能性としてはテディが本当にサブリナの恋人であり純粋に被害者である可能性、もう一つはテディがサブリナの恋人役を演じているクライシスアクターである可能性です。

ただテディについての描写を分析する限り、テディが本当にサブリナの恋人である可能性は低いと思います。それは一見傷ついた被害者のそれを思わせる振舞いにもいろいろと不自然なところが多すぎるからです(テディの奇怪な振舞いについては後述)。

ではテディがサブリナの恋人役を演じているクライシスアクターである場合どうかというと、ここでもテディの人物像には二つの可能性が生じてきます。その二つの可能性とはテディが本物である可能性と偽物である可能性です。

つまりカルヴィンの元にやってきたテディ・キングは別人にすり替わっており、偽物である可能性があるわけですね。

テディは別人にすり替わっている!

テディとカルヴィンは幼なじみといいながら実はそれほど親しくはありません。これはカルヴィン自身が刑事との会話の中でそのように証言しています。

二人は高校卒業以来一度も会っておらず、学生時代のエピソードは実はそれほど多くはありません。なので二人の間にはほとんど会話らしい会話が成り立ちません。テディがあまり学生時代の昔話にはのってこないんですね。

この二人が実はそれほど親しくないということがよくわかる描写があって、それが二人が駅で再開するシーンです。二人は駅の待合室で待ち合わせるのですが、待合室に大勢人がいる状態ではカルヴィンはテディを見つけることができません。

カルヴィンは待合室から人がどんどん出て行って、最後に一人だけ長髪の男性が残ってやっとそれがテディだとわかるんですね。つまりカルヴィンはテディの顔を全然知らないわけなんです。一応高校時代からはテディの髪型が変わっているようですが、それにしてもこれは幼なじみにしては不自然です。

ではなぜ本来大して親しくもない関係の二人が幼なじみだということになってしまうのか?それは特別捜査局の人間がテディのふりをしてサブリナが失踪する前にカルヴィンに電話をかけ、関係を築いておくという工作を行っているからです。

サブリナが失踪する前、二人は電話で長く話しこんで盛り上がったという会話が出てきます。おそらくこれは特別捜査局の人間がテディのふりをしてカルヴィンに電話を掛け、カルヴィンの元にテディを送り込む前にカルヴィンとの関係を築いておいたわけですね。この工作によってそれほど親しくなかった二人の関係が、なんとなく親密だったような勘違いがカルヴィンの中に起きているわけです。

しかし実際にカルヴィンのもとにやってきたのは無口でほとんど会話が成り立たない男で、二人の間にはなにか微妙な空気が流れてしまっています。こういった描写からどうも
テディ・キングはすり替わっており、二人いるのではないかと思われるわけですね。

なぜ偽テディはカルヴィンの元に送り込まれたのか?

偽テディがカルヴィンの元に送り込まれたのはサブリナの恋人役を演じている偽テディをカルヴィンにマスコミなどから匿わせるためだと思われますが、それ以外にもカルヴィンに間接的にサブリナ偽殺人事件に関与させ、カルヴィンに様々なストレスを与えるという任務を負わされているためだと思われます。

先に書いたようにカルヴィンは特別捜査局からスカウトを受けていて、ストレス耐性をテストされています。おそらく特別捜査局はこの奇怪な人物をカルヴィンの元に送り込むことでカルヴィンが特別捜査局での任務のストレスに耐えられる人物なのかをテストしているわけですね。

謎が多すぎる偽テディの人間性

偽テディは非常に情緒が不安定であり、数々の奇行を繰り返します。例えば基本ブリーフ一枚で生活するとか、夜中に突然叫び声をあげるとか、突然暴れだすとか、ブリーフ一枚で手に包丁を持って家の前をフラつくといったことまでやってのけます。はっきり言ってかなりいろいろとヤバい行動をとります。

偽テディはクライシスアクターですから、これらの行動の内のいくつかは演技だろうと思われますが、演技なのかどうかはっきりしない行動も見受けられます。そういった点で非常に謎が多い人物なんですね。

偽テディは特別捜査局によって数々のヤバい任務をやらされています。偽テディはサブリナの恋人役を演じているだけでなく、サブリナの偽殺害ビデオに出演している黒いマスク姿のティミー・ヤンシーの正体でもあります(それをほのめかす描写がある)。

つまりこれらの演技が出来るくらいには正気を保っているわけですが、ただ何がしかの洗脳を受けている可能性も捨てきれません。また特別捜査局の任務をこなすことで生じたストレスによって情緒が不安定になっている可能性もあります。

偽テディがとる行動で最大の謎は陰謀論を語るラジオ番組を取りつかれたように聴くというもので、まるで精神安定剤代わりに陰謀論を語るラジオ番組を聞き続けます。これはひょっとするとなにがしかの思想洗脳を受けコントロールされているということなのかもしれません(ちなみにラジオやネットなどでこういった陰謀論を流しているのもまた特別捜査局の工作だと思われます)。

実際偽テディには監視役と思われる人物がついて監視している描写がありますし、特別捜査局の手によって何らかの形で操られているということは言えそうですね。


以上がテディ・キングについての分析結果なのですが、いろいろ情報を拾い集めてみてもこのテディという人物にはやはりなぞが多く、正直よくわからないところが多い人物ですね。

妹サンドラは唯一サブリナ偽殺人事件とは無関係 

さてテディ・キングとは対称的に非常に人物像がわかりやすいのがサブリナの妹サンドラです。それはサンドラが唯一サブリナ偽殺人事件とは無関係であり完全な被害者だからで、サンドラは純粋に姉の殺害と世間からのバッシングに傷つき苦しんでいます。

そして面白いのはこの妹の存在もまた物語上のミスリーディングになっていることです。つまり妹サンドラが姉の殺害や世間からのバッシングで苦しみ、やがて立ち直る姿を描くことで他の登場人物もまた同様に傷つき苦しんでいるように見え、読者がこの物語を犯罪被害者が傷つきやがて立ち直る物語だと思い込むような仕掛けになっているというわけなんですね。

ティミー・ヤンシーはなぜ殺されたのか? 

物語の中でサブリナ殺人事件の被疑者とされるティミー・ヤンシーについてはそれほど多くの情報はありませんが、この男が何らかの理由で特別捜査局に暗殺されたであろうということはいくつかの描写から見てとれます。

ではなぜティミー・ヤンシーは特別捜査局によって暗殺されたのか?ですけれども、二つの可能性が考えられます。

一つはティミー・ヤンシーが特別捜査局に敵対する人間だったためです。ティミー・ヤンシーは陰謀論の支持者で陰謀論にのめりこんでいたとの記述が見られますので、こういった理由で特別捜査局に目を付けられて暗殺された可能性があります。

もう一つの可能性はティミー・ヤンシーもまた偽テディと同様にクライシスアクターだった可能性で、特別捜査局にとってコントロールがきかない存在になってしまったために消されてしまった可能性があります。

ティミー・ヤンシーは暗殺される2か月前に二人の男と自分の部屋であっていたという大家の証言がありますから、特別捜査局の人間と以前から接触していた可能性が高いと思われます(これについては後述)。

ただティミー・ヤンシーについての情報はこれ以上はないのでこれ以上のことはわかりません。

暗躍する工作員たち

この物語には偽テディ以外にも特別捜査局に属すると思われる工作員が何人か登場します。

偽テディを監視する二人のスキンヘッドの男

先に書いたように偽テディには監視役と思われる人物が二人付いています。一人はサブリナ殺人事件を担当しているクレイグという刑事で、もう一人は偽テディが逃げた猫を探すシーンで車に乗せてやる男です。この二人はともにスキンヘッドの男で刑事だと思われますが、二人とも特別捜査局の息のかかった人間だと思われます。

92ページにこの二人が揃って偽テディに接触しようとするシーンがあるので、この二人が仲間で偽テディを監視していることがわかります。さらに偽テディが逃げた猫を探すシーンで、車に乗せてやるスキンヘッドの男との間で奇妙な会話が交わされます。

スキンヘッドの男「コロラドには旅行で?」
偽テディ「そう。」
スキンヘッドの男「出身はどこ?」
偽テディ「シカゴ。」
スキンヘッドの男「こっちは気に入ってくれたか?」
偽テディ「ああ、かなりいいところだよ。」
スキンヘッドの男「よかった。」

この会話の中でスキンヘッドの男は「こっちは気に入ってくれたか?」と聞き、偽テディが「ああ、かなりいいところだよ。」と答えるとスキンヘッドの男は「よかった。」と言っていますから、深読みすればまるで偽テディがカルヴィンの元に身を寄せることを、このスキンヘッドの男が斡旋してやったかのように読めます。

また偽テディが「ああ、かなりいいところだよ。」と答えるのもなんだか不自然です。まるでこの旅を楽しんでいるかのように読めます。こうした状況証拠からどうもこの二人のスキンヘッドの男が偽テディを監視し、コントロールしているのではないかと思われるわけですね。

さらにこの二人のスキンヘッドの男たちにはもう一つ疑惑があります。それはティミー・ヤンシーの殺害を実行したのはこの二人のスキンヘッドの男ではないのか?という疑惑です。

ティミー・ヤンシーが殺害される2か月前の夜中の2時ごろに、ティミー・ヤンシーの部屋から少なくとも3人の男の話し声がしたとの大家の証言がありますから、この二人のスキンヘッドの男がティミー・ヤンシーの部屋を訪れていた可能性があります。

つまりはこの二人のスキンヘッドの男は以前からティミー・ヤンシーに接触しており、ティミー・ヤンシーの殺害を実行したのはこの二人のスキンヘッドの男である可能性が高いのではないか?というわけですね。

いずれにせよいろいろな状況証拠から、この二人はどっぷりと特別捜査局にかかわっていると言えそうです。

同僚ダールマンの正体は特別捜査局のリクルーター

この物語にはもう一人特別捜査局の息がかかっていると思われる重要な人物が登場します。それがカルヴィンの同僚のコナー・ダールマンという男です。そしておそらくこの男がカルヴィンを特別捜査局にスカウトした人物で、カルヴィンが特別捜査局の任務をこなせる適性があるかをテストしているリクルーターだと思われます。

ダールマンは表向きは自身も特別捜査局への転属を希望していてカルヴィンとはライバル関係にあるのですが、カルヴィンと違い特別捜査局の内情に精通しています。カルヴィンの特別捜査局への転属が決まった後、ダールマンがカルヴィンに話す話の内容が明らかに特別捜査局の関係者以外知りえないような話ばかりなんですね。

こうしたことから考えるとやはりこの男も特別捜査局の息がかかった工作員である可能性が高いわけなんですね。

ダールマンによる種明かし

そしてダールマンは物語上この物語に隠された秘密の種明かしをする役目を担っています。ダールマンはサーバールームでカルヴィンと二人だけになった時、カルヴィンの転属先がいったいどれほど恐ろしい組織なのかについて語り始めます(会話の最後に冗談だよと茶化す)。そしてこの二人の会話がこの物語の種明かしになっているわけですね。

ではこの会話でのダールマンの発言を少し引用してみます。

ダールマン「カルヴィン、自分がどんな仕事に契約したのかお前はわかってないみたいだ。話をしたほうがいいと思う。」
カルヴィン「どういう意味?」
ダールマン「こことは違うんだぞ。デスクワークばかりじゃない。」
カルヴィン「ああ、わかった。それか。それは別にいいんだ。必要があれば移動するよ。」
ダールマン「移動?法的に認められない殺人はどうだ?その心の準備はしているのか?」
カルヴィン「えっ?」
ダールマン「もし、教えてもらえない理由でアメリカ市民が行方をくらます必要があって、ささやかにでもお前がその計画に加担しているとなったら?そんな犯罪に手を貸そうと思えるか?一生頭にこびりついてくるようなことをやらされるんだぞ。」
ダールマン「もっとひどいことだってあるんだ、カルヴィン。国外秘密施設について聞いたことは?そこでなにが行われているかは知ってるよな?知るわけないか。そのドアから入ったが最後、もう出て行くことはできない 。」
ダールマン「どうした?これも職場の日常だって!あの悪名高い陽動作戦で大量殺人をやれってことになったら、お前がどうなるのか不安だな。あの仕事はマジで危険と隣り合わせだ。まあ待ってろって、あいつらが殺し屋として送り込む狂った連中に会えるぞ。」
ダールマン「一般人が想像するしかないようなことを知れるとしたら?人生がガラッと変わるぞ。俺たちが生きてる世界を裏で動かしてる仕組みがあるってことさ。お前の頭はプレッシャーで破裂してしまうかな?」
ダールマン「おいおい、お前マジでなにもわかってないな。ハハハ。水飲み場に行けば同時多発テロの真相がわかるぞ。あるいはサブリナの身になにが起こったのかも。」
ダールマン「忘れるなよ。緑のドアをくぐったら、一生沈黙を守るんだからな。ハハハ。」

まず「もし、教えてもらえない理由でアメリカ市民が行方をくらます必要があって、ささやかにでもお前がその計画に加担しているとなったら?」の部分がカルヴィンが間接的にサブリナ偽殺人事件に加担させられてることを表しています。

そして「国外秘密施設について聞いたことは?そこでなにが行われているかは知ってるよな?知るわけないか。そのドアから入ったが最後、もう出て行くことはできない 。」「あるいはサブリナの身になにが起こったのかも。」の部分がサブリナが現在どこにいるのかを表しているわけですね。

さらに「どうした?これも職場の日常だって!あの悪名高い陽動作戦で大量殺人をやれってことになったら、お前がどうなるのか不安だな。あの仕事はマジで危険と隣り合わせだ。まあ待ってろって、あいつらが殺し屋として送り込む狂った連中に会えるぞ。」という部分が偽テディやスキンヘッドの男たちがやっていることを表しています。

こんな感じで物語の最後にダールマンによる、身の毛もよだつような秘密の種明かしが行われるわけですね。

裏ストーリーまとめ

ではここまでの話をまとめてみましょう。この物語の裏ストーリーをまとめるとこうなります。


シカゴで起きたサブリナ殺人事件は実は特別捜査局が行った偽旗作戦であり、サブリナは殺されておらずちゃんと生きている。

サブリナの恋人とされるテディ―は実はすり替わった偽物でクライシスアクターである。

偽テディ―が身を寄せているカルヴィンは特別捜査局からスカウトを受けている。

カルヴィンには特別捜査局から様々なストレスがかけられていて、ストレスへの耐性をテストされている。

カルヴィンはこのテストに合格し、見事に特別捜査局に転属することになる。ただしカルヴィンは特別捜査局がとても恐ろしい組織だということには気づいていない。


以上がこの物語の裏ストーリーです。


実のところこの漫画はこれまで解説した表のストーリーでも裏のストーリーでもどちらでも読めるように、あえてぼかした表現方法をとっています。この漫画はあえて明確な種明かしをしないことで、従来のミステリーにはない効果を生み出していて、そこが表現方法としては新しいところなんですね。

従来のミステリーでは最後の種明かしが終わるとなんとなく終わってしまったという感じで脱力感がありますが、この漫画の場合は明確な種明かしがないので読後も中吊り状態が続いて、いい感じで謎めいた雰囲気が残るわけですね。

ですのでここに書いた私の分析も全てがあっているかどうかはわかりません。あえてあいまいさを残した表現なので、どう捉えるかはある程度読者の自由というわけです。そこがこの漫画の最大の面白さだというわけですね。

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