Dr.スランプ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
みんな大好きアラレちゃんです。といっても今の若い人は意外と読んでないかもしれないですね。
一応この漫画を知らない人の為に設定を説明すると、ペンギン村に住む発明家、則巻千兵衛が作ったロボットがアラレちゃんです。アラレちゃんは物凄いパワーを持っていていろんな物をぶっ壊したり、めちゃめちゃ早く走ったりします。
そしてペンギン村では毎回いろいろとおバカな出来事が起こってアラレちゃんもめちゃめちゃに暴れまわり、最後はみんなズッコケて終わるといった感じの漫画ですね。
さて、そんなDr.スランプですがこの漫画の一番凄い所はどこかというと、やはりそれは絵の異常な上手さですね。
まず画風としてはアメコミから影響を受けたと思われる雰囲気が随所にあって、それまでの日本の漫画の流れとは明らかに違う画風です。つまり手塚とか赤塚とかの流れとはぜんぜん違うところから出てきた感じがあって、当時としてもセンセーションだったわけですね。
更に画風について説明すると基本的に絵には陰影が付けられておらず、輪郭線とベタだけで描かれているという特徴があり、基本的にはほぼ線画でスクリーントーンすらろくに使われていません。
にもかかわらず絵にはとても立体感があり、ムチムチした柔らかさが感じられるようで、平板な感じはまったく受けません。
こうした絵は一見すると手抜きをやっているように見えるわけですが、実際にやるとなると大変です。なにしろ陰影を付けられない以上ごまかしが効かず、正確なデッサン力が要求されるからです。
絵を描くものからすると、絵に陰影を付けた方がいろいろとごまかしやすく、デッサンの狂いも目立ちにくいわけですね。特に線画だとデッサンの狂いはとても目立ちますから大変です。
絵を長くやっている人でも人物のポーズによってはデッサンが狂ってしまって上手く描けないということはよくあることですから、こうしたことをやろうと思うと頭の中で正確にポーズを思い描いて線を引く能力が必要になります。
そういった異常な空間把握力というか、CGのレンダリングのような正確な再現力が必要なわけですね。
そして更に信じがたいのは扉絵イラストの描きこみの密度ですね。漫画には毎回凝った扉絵が付けられていたわけですけど、この扉絵の描きこみの密度が凄い。普通に考えてこの扉絵を描くだけでも2~3日はかかるはずだと思うくらいの仕事量が詰まっています。
普通ならまずイラストのデザインを考え、細部を描くための資料を集め、下絵を正確に描き起こして、細部まで細かくペン入れをするという大変な仕事量で、この扉絵イラストに加えて当然のことながら漫画の本編も描いていたわけですから、なんでこんなことができるのか正直さっぱりわかりません。
鳥山明のインタビューを読むと、こうした扉絵のメカのイラストなどはデフォルメして描いているから上手く描けるのであって、正確に描くと上手く描けないと言っていたりします。ただ多少デフォルメしていてもこのようなメカをスラスラとなかなか描けるものではないですね。
しかも鳥山明のスタジオには資料の類がほとんど置いてないという噂もありますからいったい全体どうなっているのかさっぱりわかりません。こうした仕事量を当時アシスタント一人で回していたという話もあって、ちょっともう信じがたい話ですね。
結局のところ、普通の人が2~3日はかかるところを、頭の中で軽々と処理してスラスラと絵が描けてしまうということなんでしょう。ホントにとんでもないですね。
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