絵が上手い人とヘタな人とでは色彩感覚がどう違うのか?


新装版 失敗しない水彩の色づくり

この本は見ての通り水彩絵の具を使った風景画の描き方の教則本なのですが、風景の描写の仕方ではなく主に風景画を描く際の色の選び方について解説している本です。

この本では風景を描くために必要な色として基本の3色と追加の5色、合わせて8色だけを使って描くことが提案されています。基本となる3色はライトレッド、ウルトラマリン、イエローの3色が提案されていて、後はシーンに合わせて追加の5色を選んで8色の絵の具だけを使って描く方法が紹介されています。

基本的に絵の具というのは赤、青、黄の3原色を混ぜ合わせれば全ての色を作り出せる(白以外)とされているわけですが、この本で提案されている基本の3色のライトレッドは赤というよりはやや茶色寄りの色で、ウルトラマリンは青というよりはやや明度が低い色です。3原色を敢えて使わないのは、3原色を使って描くよりもこの方がより自然の情景を描くのに適しているからだそうです。

さらに追加する色として提案されているのがサップグリーン、ホリゾンブルー、ペインズグレー、プルシャンブル―、パーマネントローズで、これらの8色だけを混ぜ合わせて風景画を描きましょうというわけですね。

ここで紹介されている色自体はこの本の著者の好みなので別に他の色を使ってもいいわけですが、ここで大事なのは絵を上手く描くためには使う色の数をある程度絞り込むことが重要だということです。

一般的に絵があまり上手くない人は絵の具のチューブから出した色をそのまま塗り絵みたいにどんどん塗っていってしまう傾向がありますから、そうすると画面上の色数がどんどん増えていってしまって、画面がいろんな色でバラバラになってしまうわけですね。

この本でも解説されていますが、画面の色彩を上手くまとめるにはまず画面全体をまとめる基調の色を決めて描くことが重要です。画面にカラーのフィルターをかけたところをイメージして基調となる色で統一感が出るように描くわけですね。

そうすることで画面が上手くまとまって風景の空気感のようなものも出てきますし、その場の情景がより説得力をもってくるようになります。

色数を絞るというのは一見すると表現が貧しくなるように感じるかもしれませんが、実のところそうではなくむしろ美しい色彩を実現するのにとても有効な方法だというわけですね。

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