もはや美意識がないビジネスは生き残ることが出来ない時代に突入した【世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」  書評】


世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~ (光文社新書)

この本は最近のビジネス書の中でとても話題になっている本で、なぜ今ビジネスにおいて美意識が必要とされるようになってきているのかについて解説している本です。

この本の前半部分は主にそうして時代の変化についての解説に割かれています。時代の変化とはつまり、経営において「サイエンス」はもはや有効性を失いつつあり、「サイエンス」に頼った経営はビジネスを危険にさらすということです。

この本に出てくる「サイエンス」という言葉はビジネスの言語化できる部分のことで、ビジネスの言語化できる部分は簡単に真似できてしまうが故にあっという間に真似され陳腐化してしまうと書かれています。

つまり、「サイエンス」に頼った経営はすぐにパクリ合戦に巻き込まれてしまうというわけですね。

では、今の時代どういった経営が有効なのか?

ここで出てくるのが「アート」です。

この本に出てくる「アート」という言葉は商品やサービスが持つ独自の美意識のことで、この美意識だけが他の商品やサービスとの差別化を実現する唯一の手段であるというわけです。そして著者はこれを「全てのビジネスはファッションビジネス化する」と表現しています。

もはや商品やサービスの品質で他とは差別化できなくなった時代において、その商品やサービスがまとっている独自の美意識だけが他の商品やサービスとの違いを提示する唯一の手段なわけですから、「全てのビジネスはファッションビジネス化する」という表現も確かに的を得ていると言えます。

独自の美意識を提示できるかどうかがこれからのビジネスの生命線であり、ビジネスで生き残るのための唯一の手段だというわけですね。


さて、そういう訳でこれからのビジネスマンは独自の美意識をまとった商品やサービスを生み出すために、自ら積極的に美意識を鍛えにかからなければならないというわけですが、美意識を鍛えるために何をすればいいのか?という方法について解説しているのがこの本の後半部分のテーマです。

この本では美意識を鍛えるためのいろいろな方法が提示されていますが、その中でも私が特に面白いと思ったのは詩を読むというやり方です。

詩というのは言語を使った表現でありながら論理とは無縁のものです。先に言語化できるものは簡単に真似されるとありましたが、詩は言語を使いながら言語化できない領域に踏み込んでいく芸術ですから、そういう意味では論理にどっぷりハマった人達にとってはもっとも受け入れがたいアートだといえますね。

詩を学ぶことでなんでもかんでも言語化して理解したつもりになるという癖を矯正できるかもしれませんし、詩的な表現を学ぶことは実際プレゼンなどでも役に立つスキルだと思います。

最近は企業の研修の中で詩を学ぶ講座が取り入れられたりもしているようですから、実際これは美意識を鍛えるには実にいい方法なのかもしれませんね。

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