ということで、今回はそんなアメリカンイラストレーションについて考察してみますね。
「サタデー・イヴニング・ポスト」マガジン・カバー 〈Vol.1(1945‐1962)〉
アメリカンイラストレーションとは何か?
いわゆるアメリカンイラストレーションとは何かといいますと、主に1890年ごろから1950年ごろまでのアメリカの雑誌や広告などに掲載されていたリアルイラストレーションのことで、アメリカの日常風景を描いたイラストが多くとてもオシャレでカッコイイ絵が多いんですね。特にその中でも巨匠といわれるのがノーマンロックウェルという人で、この人の絵は絵葉書とかになっていて今だによく売られてますから皆一度は見たことあるはずです。
ノーマン・ロックウェル
ノーマンロックウェル以外にも多くの有名な画家が活躍した時代でアメリカンイラストレーションの黄金期と言われています。ざっと名前を挙げますとノーマンロックウェル、ライエンデッカー兄弟、ジェームズ・モンゴメリー・フラッグ、マックスフィールド・パリッシュ、N・C・ワイルド、ロバート・マクギニス、ハワード・チャンドラー・クリスティなどがいますね。
この時代のアメリカの雑誌には表紙から広告までリアルイラストが多く掲載されていて、セクシー美女のピンナップまでもがリアルイラストで掲載されていたほどです。アメリカにおいては画家たちの活躍の舞台は専ら雑誌の表紙や広告用のリアルイラストだったわけですね。
なぜ20世紀前半のアメリカの雑誌でリアルイラストが多用されたのか?
ではなぜこの時代のアメリカでリアルイラストにそれだけの需要があったのか?なんですが、その時代背景を調べてみると一つの仮説にたどり着きました。それはカラー印刷とカラー写真の普及のギャップです。カラー印刷の歴史を調べてみると、その普及は大体1800年代の後半だったことがわかります。それに対してカラー写真が雑誌に載り始めるのは1940年前後だったと思われます。おそらくここに50年くらいのギャップがあったわけです。
そしてそこにリアルイラストの需要が発生したのではないかと推測できます。つまり、カラー写真の代わりにリアルイラストが代用されたわけですね。
この時代のアメリカンイラストレーションの制作工程を調べてみると、モデルを雇ってポーズをとらせて写真を撮影し、撮影した白黒写真を見ながらイラストを描いていたことがわかります。こうしたことから考えても、正にカラー写真の代わりにリアルイラストを代用していたんだろうと思われます。
ただ、この仮説だとなぜこの時代のアメリカの雑誌においてだけこれほどまでにリアルイラストが多用されたのかについては説明がつきません。同じ時代のヨーロッパや日本の雑誌ではこんなに写真の代わりにリアルイラストが多用されていたわけではありませんからね。
おそらくここには何かアメリカ人の変なこだわりがあって、その変なこだわりがアメリカンイラストレーションの黄金期を生み出したということなのでしょう。何しろセクシー美女のピンナップグラビアまでもがリアルイラストなんですから、そのこだわりはなんかちょっと変です。
このアメリカ人の変なこだわりのおかげでアメリカンイラストレーションの黄金期があり、多くの有名な画家たちを輩出したというわけですね。
【イラストTシャツの販売をしています。よろしければ見に来てくださいね】
【リアル絵Tシャツ屋さん】
【このブログのおすすめ記事の一覧です】
おすすめ記事一覧